タームレーダーの検知技術

1.マイクロ波のドップラーセンサー
マイクロ波は金属以外のものは透過するため、木材内部を加害するシロアリだけではなく、石膏ボードやタイル、モルタルなどの奥で活動するシロアリの活動も検知できます。目視調査では見つけられなかったシロアリを発見することができます。内部に生息するシロアリにマイクロ波が当たった際に生じた反射波(ドップラー波)のズレや大きさを検知することで、シロアリの生息状況を確認します。マイクロ波は、24GHz帯の非常に微弱なものを使用しているため、使用に関しては特別な免許や届け出も必要なく、安全に誰でも使用することができます。

2.シロアリ検知に特化した独自アルゴリズムによる高精度フィルタリング技術
マイクロ波はいろいろなものに反射し、跳ね返ってきます。そのままの反射波を検知するだけでは、目的の波長以外のノイズを拾いすぎてしまい、シロアリによる反応なのか、それともそれ以外の反応なのかの判断のつけようがありません。タームレーダーでは、それをなるべく解消するため、生体バイタルセンサーで用いられていた心拍・呼吸・体動の波形を区別する既存技術を応用し精度を高めました。マイクロ波センサーで取得したデータを独自アルゴリズムによる高精度フィルタリング技術により、シロアリに特化した動きの波形を抽出するようにしています。

タームレーダーの仕組み

 
 

 

 

 

 
 

検知画面の読み取り

センサーの画面では、シロアリの活動を検知するレーダー3つと振動センサーが表示されます。 シロアリの活動を検知するレーダーはそれぞれが反応を示すため、シロアリの生息範囲や生息規模に応じた反応が見られます。シロアリが生息している場合、青色の表示バーが上下に激しく、停止することなく連続して振れます。 振動センサーは本体が揺れている場合に反応を示すため、検査時は振動センサーの赤色のバーが表示されないことを確認して行います。本体が揺れるとセンサーでも反応が出てしまい、うまくシロアリの活動を検知することができません。 レーダーの感度はレベル1~10まで自由に変更できるので、検査対象や状況に応じた設定が可能です。

 

検知する際は振動センサーに反応しないことが必須
振動センサーに反応がなく、レーダーに連続した反応があると生息していると判断

 

シロアリの動きに反応し、シロアリの活動がある場合は表示バーが上下に連続して激しく揺れる
内蔵された3機のマイクロ波レーダーの検知結果はそれぞれ表示
シロアリの活動範囲によって表示バーの示す反応が異なる

検知できる対象と範囲

検査対象

タームレーダーはマイクロ波を使用しており、木材や石膏ボード、タイル、モルタル、ゴムなどの建材を透過して、その奥に生息するシロアリの活動を検知することができます。しかし、マイクロ波は金属を透過しないため、金属板や非常に目の細かい金属メッシュ、アルミシートなどの金属類がある場合は、それよりも奥を検知することができません。また、マイクロ波は水分があると減衰するため、必要に応じて感度レベルを上げて使用します。

 
 
 

反応の大きさについて

 
 

反応の大きさは、シロアリが生息する深さや生息数によって変化します。反応の大きさは生息箇所が浅い場合や生息数が多い場合、マイクロ波を通しやすい物質の場合は大きくなり、深い場合や生息数が少ない場合、マイクロ波を通しにくい物質の場合は小さくなります。

 

 

シロアリ生息の判定

シロアリによる反応の可能性が高い

  • 振動センサーの反応がなく、表示バーが止まらず連続した反応を示します
  • レーダー3機はそれぞれ異なったタイミングで異なった反応を示します
  • 反応が小さい場合は、シロアリの生息数が少なかったり奥のほうで活動していたりする可能性があるため、検査機を近づけたり、検知レベルを上げて反応が大きくなるか確認します
  • 不均一で連続した反応が見られた場合、その周辺も同様に検査し 、同じような反応が 見られる場合は「生息あり」と判断します

シロアリ以外の反応

  • レーダー3機ともに同調するような反応を示す場合(振動センサーも確認) ・均一な動きや非連続的な動き(数秒以上動きがなく、また動き出すを繰り返す)の場合
  • これらの反応の場合は、周辺状況も考慮して「生息なし」と判断します

最終的には、目視や打診など他の調査方法の情報、周辺の活動状況、検査箇所も勘案し総合的に判断します。